わたしは岡山ではむかし備中と呼ばれた地方に住んでいます。子どものころから祖父母の会話を聞きながら育ちましたので,いまでは廃れてしまった岡山弁(玉島弁)をときどきなつかしく思い出します。
ここに思いついた今はあまり使われなくなった方言を載せてみたいと思います。
ご覧になった方で「そりゃーちがうでー」というものがありましたら管理人宛にお知らせください。
(岡山弁は「でーかでーこをこーて,てーてーてー」(だれか大根を買って,炊いておいてください)とか「こけーけー」(ここへ来い)とかのように音便的に言いやすく変化します。これを岡山弁研究家は「曲用」と名付けています)
最新収録(せんでーろく,とーす,いかんぼり,おせ,こらん,かざる,にごみ ,むさんこう,ひてー,ちゃちゃーぼちゃー ひえだんご しろみて のがる とび はんばく ぬすくりえーこ てにゃーわん いんぎょうちんぎょう じょうとこ むさんこう あまじゃーねー こごしる しょわーねー しくれる まどう さほうがねえ
こうたんと同じ ふれーいる はしかいー
ちくわ笛で有名な住宅正人さんによる岡山弁劇場は最高
岡 山 弁 | 意 味 | 用 例 等 | |
1 | とらげる(動詞) | しまっておく | 「大事なもんじゃけん,戸棚にとらげとかれー」(ちなみに「○○られー」は岡山弁独特の尊敬の命令形の助動詞) |
2 | はしる(形容詞) | 痛い | 運動会で「わーあの子こけたでー。すねから血がでとる。はしるでー」この痛さは擦り傷の痛さをよく表す。肘とかすねをすりむいて,泥や砂も付いている,しみるような痛さのとき使う |
3 | しわい(形容詞) | かたい | 「このするめはしわいなー」「このするみゃーしうぇーなー」と使う。するめを歯で引きちぎる硬さを表すニュアンスがぴったりだと思う。 |
4 | へーふご(灰畚)−(名詞) | わらで編んだかご (笠岡以西では「ほぼろ」ともいう) |
祖父はこれを作る名人だった。ちなみに畚(ふご)は標準語。竹で編んだ小さいものを畚という。慣用句として「畚をうって帰る」というのは農家のお嫁さんがきびしい労働に耐えかねて実家にもどっていくさまを言ったと聞いている。畑に畚を打っちゃってそのまま帰るという情景だろう。笠岡の方では「ほぼろをうって帰る」とも言うらしい。「ほぼろ」は畚のことだということがわかった。 最近(03.4.12)「ほぼろ」について検索したら勘違いしているのではないかと感じた。以下はそのリンクのページ「ほぼろをうる」。しかし,もう一つの「ほぼろをふる」は自分の見解に近い。 |
5 | おっぱがえー(慣用句) | かっこいい | 伯母から「あんたその服はおっぱがえーが」と久しぶりに聞いた。いまでは誰も使わないほめ言葉(最近友だちに「おっぱーいうな」といわれた。格好つけるなということのようだ) |
6 | ちばける(動詞) | ふざける | 「ほれほれ,ちばけずに前を向いて歩こうで。クルマが来とるよ」いまも使っている。 |
7 | てんぽら(名詞) | てんぷら | 祖母が「リュウキュウイモ(さつまいも)のてんぽら」と言っていた。ポルトガル語のテンポーラに発音が近かったわけだ。父はレンコンのてんぽらが好きだった。 |
8 | ぼうぶら(名詞) | かぼちゃ | ボウフラではない。ナンキンとか唐茄子ともいう。これもポルトガル語に由来しているのだろうか。(7月1日広辞苑で調べたら「ぼうぶら−ナンキン」とでており,やはりポルトガル語であった。ここら辺は江戸に比べ長崎に近いのでポルトガル語が伝播しているのだ(エヘン)) |
9 | でんぼうし(名詞) | つくし | 「畦のでんぼうしを引きに行こうや」単に「ほうし」とも言う。ツクシは胞子でふえるから学術的由来があるのだろうか? |
10 | そこまめ(名詞) | なんきんまめ | 落花生とも言うから,土の中の豆というところからきた名前か |
11 | うずないー(形容詞) | きしょくわるい | ほかの意味合いもあるようだが,わが家では,菊の新芽などの回りにびっしりとアマコ(アブラムシ)がついているのを見て「うずないー!」と言う。鳥肌が立つ気色悪さをあらわす。 |
12 | しりつ(名詞) | 手術 | 「盲腸のしりつをした」本当は「しゅじゅつ」と言っていたのかもしれないが祖母の発音はそう聞こえた。(8月23日,つげ義春の『ねじ式』に「しりつ」を見つけた。これはもう全国的な方言かも?) |
13 | てーがてー(形容詞) | じれったい 歯がゆい |
「おまえのやることはてーがてー」と,いまもって母に言われる。 |
14 | あだくれる(動詞) | 転げ落ちる | 「げし(土手)を歩きょうてあだくれた」あだける=乱暴をするという言葉があるが関係ないか |
15 | けなりー(形容詞) けなりがる(動詞) |
うらやましい うらやましがる |
「髪の毛がふさふさあってけなりーなあ」毛成りーと当てるべきか 「子どもは人のもっとるものばかりけなりがる」 |
16 | ひいご(名詞) | ツバメ | 昔は家の中のたたきの上の梁に巣をしていた。だから入り口の障子の桟の一部はひいごがとおり抜けられるように紙を貼っていなかった。ひいごの子がたたきへいっぱい糞を落としたいへんだった。 自分の家の子どもについて「ひいごの子が口を開けて待ちようるから帰ってご飯の支度をするわ」と立ち話をやっと切り上げて母ちゃんたちは家に帰っていった。 |
17 | しねー(動詞の命令形) | しなさい | 「はよーしねー」といわれたからといって死ぬことはない。ただ相手は少しいらついているだけだから「まあそーあわてな,夜道ゃー暮れなー,まーぼつぼつやってきちんとすましていのーや(帰ろう)」とさらりといなす |
18 |
ものをまぜる(慣用句) | おおさわぎする | 「こどもの結婚のことじゃーものをまぜさせたなーほんまにすまなんだ」 |
19 | すばろーしー(形容詞) | 不景気なときやおもしろくないときを形容する | 「いまあそこの会社はすばろーしーらしいなー」「そげーなすばろーしー顔をするな正月ぐらい」 みすぼらしいから転じたのだろうか |
20 | ずど(接頭語) | 超○○とか最○○ | ずどぼっけえとか使う。岩井志麻子さんのホラー小説『ぼっけえきょうてえ』(角川文庫)の続編は『ずどぼっけえきょうてえ』かもしれない |
21 | おしめんせー(あいさつ) | こんばんは | 「蚊がくうから早うおしめんせーよ」と畑に行った者同士声をかけ合って夕方のあいさつをする。農作業をはやく仕舞い帰りましょうということ |
22 | おえん(形容動詞) | 駄目だ | 「こりゃあ,ぜんぜんおえんのう」と重松清さんの『日曜日の夕刊』(新潮文庫)の中の一話“さかあがりの神様”で主人公に義父が,さかあがりのこつを伝授するくだりで出てくる。玉島ではよく使う。「さっぱりおえん」とか「そりゃあおえんじゃろう」とか自嘲的な場面で |
23 | しりこぶた(名詞) | 臀部=尻の部分 | 「しりこぶたを机の角にぶつけていてーいてー」ふくらはぎを「こぶら」ともいうのでおしりの肉の部分をこのように呼ぶようになったのだろうか |
24 | 業(ごう)がわく | 腹が立つ | 「あんたの物の散らかしようには,もー業がわく」と嫁さんにいわれた。かたづかないのでいらいらするのだろう。わかっとんじゃけーどな。「業を煮やす」という言い方があるけーそれとおんなじじゃろーなー。 |
25 | すらんこう | 欲張りなこと | 「すらんこうなことばーしよるとバチがあたるでー」気をつけます |
26 | びる(動詞) | 負ける,失敗する | 「またパチンコでびってしもうた」ビリを動詞化したようです |
27 | せんでーろく(名詞) | 千歳楽(せんざいらく)が正しいという | 「せんでーるく」ともいう。わが町の秋祭り太鼓台のことをこのようにいう。千歳楽に詳しいHPがある。このHPの管理人かなりせんでーろくに入れ込んでいる。ちなみにわたしは秋祭りの日に生まれた。 |
28 | げっとこ(名詞) | びり | 運動会の徒競走はいつもげっとこをキープ(作州方面では「べっとこ」という) |
29 | かばち(名詞) | 理屈?屁理屈? | 子どもがそげーなかばちをたれるなとよく言われた。あんまり品はよくない。重松清さんの『流星ワゴン』にもしばしばでてくる。 |
30 | わや(形容動詞) | めちゃくちゃ | 「せっかくの○○がわやになってしもうた」これも重松清さんの連載小説『みんなのうた』(家の光)にでてくる。 |
31 | おんびんたれ(名詞)またはおんびんさく | 臆病者 | 「祭の鬼がきょうていじゃてー,ほんまにおんびんさくじゃのー」これは自分のこまいころのこと。重松さんの『流星ワゴン』にも出てくる。「おんびんたれなんじゃけえ,カズはこまい頃から」(p351) |
32 |
とーす(備前の方では“よーす”)(名詞) | 籾すり | 機械でする籾すりもとーすをすると言っていた。唐臼がとーすとなったのだろうか。確かに竹と泥でできた臼を見たことがある。牛に回させていたこともあるようである。「よーす」は夜臼なのだろうか。籾すりは夜なべ仕事だったようでもある。 |
33 | いかんぼり(名詞) | 凧(たこ) | 冬の子どもの遊びはいかんぼりあげとコマ回しだった。家の前のおじいさんがカルタ(四角な)のいかんぼりを作ってくれた想い出がある。タコをイカとはこれいかに(広辞苑に「烏賊幟(いかのぼり)」=凧とあった) |
34 | ばぶ(名詞) | 餅(もち) | 「ばぶはなんぼうたべるかのー」祖母が正月の雑煮にいれる餅の数を子どもらに聞いていた。入浴剤のことではない。 |
35 | おせ(名詞) | おとな | 「ええおせになったなー,見違えたがなー。こねーだまで洟を垂らしょーたのに」 岡山の雑誌『Osera』も「おせら」(大人たち)からきているよう |
36 | つもごり(名詞) | つごもり,月のおわりごろ | 大晦日はおおつもごりとなまっていた。祖父は12月20日頃からおおつもごりまで,餅の賃搗きのアルバイトに出ていた。餅をしぼりちぎると同時に丸めたあんこをくるみ込める早技を持っていた。 |
37 | こらん(名詞) | こつ(かんどころ) | 「この箱を開けるにゃーこらんがいるんじゃ」(この箱を開けるにはちょっとしたコツがいる) 母に「おめーはほんまにこらんがねー」(おまえはいつも工夫が足りない)とよくいわれる。 |
38 | えどーかす(動詞) | からかう | 「こどもーえどーかすばーすな」「そりゃーあの子にえどーかさりょーんじゃろーが」(いらまかす)とか(いだまかす)は上品な言い方である。ちなみに「○○せられー」という言い方も尊敬の命令形だからとても上品なのである。子どものころは気恥ずかしくて使えなかった。町なかの言い方をすると「おめーなにゅう気取りょんなら」と仲間にえどーかされた。 |
39 | かざる(動詞) | 嗅ぐ | 「このおかず,ちょっとかざってみーや。あまっとる(腐ってる)かもしれんど」(重松風)どんどん上品さに欠けてくる。まー岡山弁はぜんたいそーじゃけーどな (上方落語に,「カザ」を臭いと言っているので案外標準語かも) |
40 | すこどんな(形容動詞) | 動作が間抜け | 「すこどんなやつじゃのー,だまされるなゆーたろーが」もうちょっと親切なアドバイスがほしかったなー |
41 | 腹をめぐ(慣用句) | 思い悩む | 「あの子のへーぜー(平生)の行いにゃー親も腹ーめーどるようじゃったなー」「せーでも最近はちーとおせになったいうがのー」(祖父母の会話を思い出した) |
42 |
にごみ(名詞) | 炊き込みご飯 | いりこめしとか醤油めしともいう。いりこ(煮干し)の入っただけのものでもおいしかった,と父は子ども時代を懐かしんでいた。弟はあまりにごみを好まない。 |
43 | てんばさー | 無造作 | 「てんばさーに植えたもんじゃが結構できがよかったなー。来年は本気で作らんとおえんなー」本気で作ったら案外できがよくない。 |
44 | ころくに | ふつうに 標準的に | 「いまごろの若ー(わけー)者はころくに岡山弁がしゃべれんのー」ほんまほんま |
45 | むさんこう | がむしゃら(見境なしに) | 「そがーにむさんこうに食べたらいけんど,牛じゃあるめーし」そうじゃそうじゃ牛はまた胃から出して食べることができるけどなー |
46 | おろ−に | 下火に, | 「お客もよっけい来よーたのにおろになったなー」あんまり使ったことはありませーーん |
47 | ひてー(名詞) | 一日 | 小正月(旧暦1月15日)のことをひてー正月と祖父母は言っていた。また,「そんな仕事はひてーでできらー」とも言っていたような? |
48 | へーご | 冗談 | 「そうやってへーごばー言うな」 慣用句で「へーごにのる」というのがある。浮かれて調子にのるという意味あいで使う。 |
49 | ちゃちゃーぼちゃー | 軽々しくに | 「せっかく貯めたお年玉をちゃちゃーぼちゃーに使ってしもうて。あんごうじゃのー」「高級品をちゃちゃーぼちゃーに食べてしまってバチがあたるど。ようと噛みしめて食べんか」はいはい,すまなんだ |
50 | てし | 自前,素人で | 「てしで作ったにしちゃー,なかなかえーようにできとるが」ありがとう,お世辞でもうれしいわー |
51 | ひえだんご | ヒエで作った団子 | 「貧乏人の子どもとヒエ団子は三つまで」と祖父が言っていた。田舎の子どもがかわいいのも三歳までだと揶揄したたとえ。ヒエで作った団子もおいしく食べられるのが三個までだということ。分限者の子は最初はおへちゃでもだんだんと気品が出てくるという裏返しの意味もある。 それでも「きびだんご」と同じ雑穀だから,いまは健康食品でもあり,素朴な味がしておいしいと思うけどなー |
52 | しろみて(代満) | 田植えが終わった休日 「さなぶり」ともいう |
岡山弁かと思ったがちゃんと広辞苑にものっている。 昔田植えは家族総出でおこなっていた(小学校でも田植え休みがあった)。一日中腰をかがめての田植えは重労働である。植えるだけでもたいへんなのに代掻きなどの田ごしらえはさらに重労働であった。祖父や父が田の畦の土を練って形作る様子は見るだけで,ついぞ自分でやったことはない。子ども心にも田植えが終わるとほっとした。「しろみて」とは慰労するためのささやかな酒宴とも思っていた。祖母がイ草を結んで作る柏餅(これを「どうばら」といった)も「しろみて」の行事だった。現在は田植機があっという間にしてしまうので「しろみて」行事もないだろう。 |
53 | こーつと(感動詞?) | 「さーてと」あるいは「そうだなー?」といった感じ | 村一番のアイデアマンの口癖だったとか。「こーつと」といってあごに手をやり首をひねるとたちまちに一儲けを企てるアイデアが浮かんだとか。まわりの者もその人の「こーつと」と言うのを心待ちにしていたそうだ。 語源を考えたが,妻によると「甲と乙どちらにしようか」と首をかたむけている様子ではないか,ともいう。案外そうかもしれない。 |
54 |
のがる(動詞) | 失敗する | 友人からのメールで思い出した。たしかに遊んでいるとき「のがったものは罰金じゃー」と言っていた。長縄飛びで足に引っかけると「のがったのは誰なー」 |
55 |
とび(名詞) | 簡単なお返しの品 | たくさんできた野菜を非農家の人などにあげると,かごのすみにそっとちいさなお返しが入っていた。「とびが入っていた」という。多くはマッチ一箱であるが,石けんやあめ玉などもあった。子どもはお菓子を期待していた。広辞苑には「(西日本で)神仏への供物・土産物」とある。 |
56 |
よんでちょうだい | ほしいなー | 「おじさんにもよんでほしいなー」子どもの持っているお菓子を見てそのように話しかけ,子どもとの会話の糸口を作っていたような。「招待する」という意味から変化したものか? |
57 | つのぎ(魚) | かわはぎ,博打打ちとも | 広島の食堂のメニューに「ハゲの煮付け」とあった。岡山では「つのぎの煮付け」という。つのぎの肝はフグの肝の次にうまいと言われる。みそ汁にしてもおいしい |
58 | きぶい(形容詞) | 「この味噌はちょっときぶうなったなあ」と使う。味噌の熟度が進んで味にまろやかさがなくなった頃合いをいうのだと思うが,微妙なこの感覚はいまの若い者にはわかりませーん | |
59 |
はんばく | わがまま,文句 | 「はんばくばー言うなら,もう食べんでもええ」とよく言われた。反駁からきたのか? |
60 | ぬすくりえーこ | なすりあい | 「ぬすくりえーこばーして,いさぎよーねーな」テレビのニュースを見ながら母が言っていた。きっと何かの政治問題だろう。 |
61 | てにゃーわん | 意地が悪い (「手に負えない」の変化?) |
「あの子はちょっとてにゃーわん顔つきをしとるなー」 「まー,こどもはそのくらいの方が,元気があってえーが」 |
62 | ぶどう | リョクトウのこと | 緑豆のことを文豆(ぶんどう)ともいうので,それがなまったものらしい。 春雨,モヤシの原料。玉島では「ぶどう汁」として,田舎汁粉的に食べていた。 |
63 |
たけろうしい | 度外れな | 「たけろうしいかざがする」(強烈なにおいがする)「たけろうしい声を出すな」(度外れな声を出すな)とあまりいいことには使われない。 |
64 | いんぎょうちんぎょう | 互い違い? | 「ボタンがいんぎょうちんぎょうになっとるでー」掛け違いをいうのだろうか。語源がよくわからない。たがいちがい→たげーちげー→いんぎょうちんぎょう? あまり使いません。 |
65 |
じょうとこ | 男前 | 近所のおばさん「あんたお父さんに似てじょうとこじゃなあ」 おばさんしばらくして,「近頃,目がええように見えんようになってなー」 「へっ?・・・・」ひさしぶりにほめられたと思ったのだが・・・・ じょうおとこ(上男)の変化したものかもしれない |
66 | むさんこう | むちゃくちゃ (考えなしに) |
がむしゃらという意味で使うのだと思っていたがが,最近聞いた用例で「むちゃくちゃ」という意味合いもありそうなので再録した。 「ブドウの剪定を素人がむさんこうにしたらいけんど」「むさんこうに並べるな」とかいう。「無参考」と書くのだろうか |
67 | あまじゃーねー | 簡単ではない | 「野菜を作るんもあまじゃーねーよ。あーさん」と近所のおばさんによく言われる。「ほんまじゃ,ほんまじゃあまじゃーねーな」 |
68 | しょわ | 心配 | 「早う帰って来んとしょわーするがなー」世話をすると心配するが同意語からか |
69 | ごっとん | ドロボウ | 「最近,ちょこちょこごっとんに入らりょうるようで」と友人が言っていた。泥棒に変わりはないが懐かしい言い方と思った。もっとも友人も被害に遭ったからことは深刻である。 |
70 | こごしる |
こまめに世話をする | 「ようこごしってじゃからトマトの苗も元気じゃなー」とおばさんに褒められた。こまごまと世話をする様子。物に対しても人に対しても言うらしい |
71 | しょわーねー | 心配ない | NHK大河ドラマ『花燃ゆ』で檀ふみさんが「せわない。せわない」と言っておられた。玉島では「しょわーねー,ぼっけーことにゃーなりゃーせん」(心配ない,大きなことにはなりはしない)と使う。68の慣用句か |
72 | しくれる | ほどける | 老人会の廃品回収で新聞紙のくくり紐がほどけて,「あっ,しくれてしもーた」という声がした。「稲の束がしくれた」「しくれんよーにしっかりくくっとけよ」 「しぐれる」ではない |
73 |
まどう | 弁償する もとどおりにする |
「あんた,こねーだの払いをまどうてよ」(あなたこの間の費用を弁償してよ」とか「割れたガラスまどうてーよ」 広島市長が平和宣言で「広島をまどうてくれ」と被爆者の気持ちを代弁された。全国民もそう思っている。 |
74 | さほうがねえ | どうなったかわからない又は行方がわからない | 「通帳をどこへ置いたかさほうがねえ」と母は預金通帳を朝から探しており,「自分の頭もさほうがのうなった」と嘆いている。もう年だから仕方がない |
75 |
買う(こう)たんと おんなじじゃなー |
店で買ったものと同じ | この草団子は「こうたんと同じじゃなー」。そのくらい玄人が作り,美味しいとか上手に出来ているという賛辞を言ったつもりであるが,今の人には大量生産のありきたりの物なのかと受けとられ,誤解を招くようになった。うちの奥さんの前では言えない。特に人にあげた手芸品などをこのようには言われると機嫌が悪い。 |
76 |
ふれーいる | 風呂へ入る | 久々のヒット。健康教室で「フレイル」の話が出たとき,それは風呂へ入ることかなと聞いた人がいる。フレイルとは介護が必要なくらいまで体力,気力が落ちた状態とのこと。大笑い!寒い時期,入浴には細心の注意をしながらゆっくり入るべし |
77 | はしかいー | かゆい | 体に籾の毛がついたり,桃の産毛がついて,いじいじとかゆい感じ 母は桃アレルギーで桃を食べると,のどがかゆく,決してたべなかったが,晩年桃のコンフォートは食べられた むかし,桃を出荷するとき,緩衝材にモクモ(もくめん)といって松の木材を綿のように削ったものを詰めていた。これも服につくと「はしかいー」 |